「お客様との出会い」
ホームページからのお問い合わせのお客さまでした。大阪府八尾市は大阪でも南のほう。弊社とは2時間ちょっとの距離になります。ホームページをご覧になられてお電話をいただいたときは、「遠いのですが、、、。」とお気遣いいただきましたが、問題ありませんとの二つ返事でお伺いしました。
ご新築にあたり古くから慣れ親しんだ門回りを解体して、一新する内容でしたがご主人のご実家。幼少から過ごした思い出がたくさん詰まったこの場所から、すべてを失うのは忍びないというご要望で、使えるものを使ったエクステリアデザインをご希望でした。また同時に、新しい建物にあったモダンなデザインにもしてほしいということでこれら両方を叶えるために取り組みました。
コンセプトは、「エントランス×庭 でもっと豊かなシンプルモダンガーデンエクステリア」
エクステリア(外構)でありながら、和室前の庭をもてるに十分の広さがあったので、両方を共存させるためのプランをコンセプトにしています。そして再利用したい石材をちりばめました。
庭のフォーカルポイントはどこにするか、そして動線をどうとればお庭も楽しめつつ、門回りの魅力も果たせるかを熟考して出来上がったプランです。
そして弊社の得意のGREENを景色の一部に取り入れました。
門回りのボリュームを持たせるために、平面と立面の構造物を一体化させるようにデザインしています。そして、内部の工夫を外からも見えるように鋳物門扉と格子フェンスでアシメントリーな門回りにしています。平屋の住宅にあうように横に広く低重心にしています。
中に入ると、斜めに走るアプローチ。階段は広く大きく、そして低く浮遊感を持たせています。階段の立上りは凹ませてLED照明を備えています。
このアプローチがお庭の園路とつながっているところが、ガーデンエクステリアのポイントになっています。
現場打ちのコンクリート階段は、横への広がりで広く感じさせ、人の動きを導く役割を担っています。玄関まではまっすぐ単調には導かず、方向が変わり、景色が変わる工夫をしています。そして優しく添えるGREENが、柔らかい木陰を作ってくれます。
玄関と真反対に目を向ければ、そこには庭が広がります。フォーカルポイントの石貼の壁と植栽が、また別の景色を創り出しています。この景色は、玄関から庭へ向かった時に飛び込む景色でもあり、建物内部の和室からの景色でもあり、エクステリアでありガーデンであるとても贅沢な空間です。
ガーデンエクステリアとは、門回り、アプローチ、ガーデンが共存した空間です。動線計画には工夫をもたせて、歩くのが楽しくなるようなアプローチをデザインします。またここで違う景色が楽しめるわけです。そしてコンクリートの印象とはまた違った、自然石の飛び石を歩くリズムをGREENと一緒に楽しめます。
和室から見える景色には、モダンとはいえやはり和風のテイストが必要です。思い出の石材がここでもまた、息を吹き返しました。新しいものばかりで創る景色には出せない味がこの空間にはあります。捨てるのは簡単です。再利用するには新しさと古さの共存を考えなくてはならないので、難しいといえます。
だから、処分されてしまうことが多いとも言えます。「再利用」という課題をお客様から与えられて、紙の上で考えて、現場で職人さんと一緒に考えて実現に至ったのですが、この上ない遣り甲斐を感じました。お客様にも喜んでいただけたのでこの上ない充実感です。
GREENいっぱいの、心地よいガーデンエクステリアが出来上がりました。
打ち合わせから、工事中まで常に我々に、細やかなお気遣いいただきましたお施主様と、この工事の中尽力してくれた職人さんたち、材料を提供してくれた仕入先のおかげで出来上がったこの空間が、これからも長く愛され続けますよう、これからも一緒に見守っていきたいと思います。