とあるマンションの菜園コーナーで春夏野菜の講習会を開催

Blogとあるマンションの菜園コーナーで春夏野菜の講習会を開催2020/07/22

2020年7月18日

大阪某所にあるマンションに備えられた菜園コーナーがあります。大きさは6m×1.5mでそれほど大きな菜園ではありませんが、住人の方のために作られた菜園です。昨年から委託を受けてこの場所で野菜を栽培し、住人の皆さんと共有する活動をしています。

今日は2年目の夏野菜の収穫イベントでした。

栽培してきたのはトマト・ナス・ピーマン・キュウリ・ズッキーニ・オクラ。今年は6月中旬から7月中旬までしっかり雨が降りました。時には暴風雨もあり、野菜たちが折れてしまうというハプニングもありました。また日照時間も短く、温度も低いので生育には悪条件が続き、大収穫とまではいかなかったものの、大人子供20組約60名の方にご参加いただきました。

マンションの住人の皆様の世代が比較的若いこともあり、小さなお子様連れの参加者が多かったです。1~3歳のお子様が多かったように思いますが、しっかりと収穫の楽しさを体験しているように思えました。またお父さんお母さんが子供たちの喜ぶ様子や、野菜を手にする様子をしっかり思い出として写真に収められているのをみて、自分の活動が何かしらの良い影響を与えているのだと実感しました。

小さな菜園に60名近い方がお越しになると、とても入りきらず順番待ちになってしまいましたが、皆様マナーを守っていただけたので助かりました。

少ない数でしたが各家族に野菜をお持ち帰りいただきました。中でもトマトはこの天候不良で赤くならなかったので、緑のトマトをお持ち帰りいただきました。なぜかというと「フライドグリーントマト」という調理方法を紹介し、お昼ご飯にでも実践してもらうために、緑のトマトですが収穫してもらいました。後から来たメールには「とても美味しかったです。」とコメントを頂きました。意外とおいしいんですよ。緑のトマトが取れるのは家庭菜園でしか実現できませんので、ならではの調理方法なんです。

 

この菜園のスタートからの様子を紹介しましょう。写真は、秋冬野菜から収穫を終えてそのままの状態の菜園です。。畝は4つに分けられています。それぞれの畝で同じ科(グループ)の野菜を栽培することで、年々場所を移しながら栽培する「輪作」をしています。

野菜は同じ場所で同じ野菜を毎年すると、生育が悪くなったり病気にかかったりしてしまうことから、輪作という手法で生育不良を回避しています。輪作についてここで詳しくは触れませんので、「輪作」「連作障害」というキーワードで検索してみてください。

さて、野菜を植えるまえにすることは畑の土壌改良になります。

まず軽く耕耘してから、土壌改良材を入れます。今回使ったのは有機石灰・牛糞たい肥・化成肥料・パーライトを使っています。

 

順番に説明すると、有機石灰は土中の酸度の調整に用いるもので、同時に微量の肥料分を含み野菜の栄養にもなります。苦土石灰というものもあり同じ目的で使用しますが、有機石灰は牡蠣殻が主成分であり自然のものです。効果がゆっくり進むため、土壌改良で投入した後すぐに苗を植え付けることができます。一方苦土石灰は混ぜ込んでから約1週間たったのちに植え付けるというルールがあります。野菜の根に影響があるからです。

続きまして牛糞たい肥。おおよそ2~3kg/m2を改良材として混ぜ込みます。今回は3kg混ぜ込みました。もともとが真砂土が基本の土でしたので、肥料分の溶脱が多いことが想定されるため、堆肥を多めにすき込んで肥料の溶脱を回避しています。肥料分は大雑把に説明すると堆肥で改良されたのちの土に留まりやすいのです。

そして肥料は化成肥料を200g/m2を混ぜ込んでいます。

最後にパーライト(黒曜石系)を適量混ぜています。このパーライトは通気性を高める土壌改良材です。この畑は、四方をコンクリートに囲まれているため水はけが悪く、乾きにくい土壌です。パーライトと混ぜ込むことで通気性を向上させて乾きやすくする効果を狙ってのことです。。通常、畑には混ぜ込むことのない改良材だと思います。

スコップでこの改良材を土に攪拌していきます。重要ポイントはなるべく深く、そして均一に攪拌することです。しかしスコップでは限界がありますが、そこは根気よく混ぜ続けていきます。同時に深く耕すことが大事です。50㎝攪拌できれば良いですが、とても大変なので30cm、、せめて20cmはシッカリ耕しましょう。深く耕すほうが収量はアップしますよ。

耕し終わったら谷ガキ鍬で畝を成型していきます。鍬の背の部分で突き固めながら畝を作っていきます。この作業は結構性格が出ると思います。

てっぺんはレーキで整地して完成です。さて苗を植え付けていきます。

この菜園の土は砂質土なので、お水やりの度に土が流れていかないように、苗の周囲に牛糞たい肥をマルチング材として施しています。

そして忘れてはいけない支柱を設置してひとまず終了になります。支柱は必ず必要であり、苗が大きくなるにつれて支柱との結束をしていってください。途中から結束しないで放っておくと、台風などの強風時に折れてしまうこともあります。

さて、植え付けてから約1カ月がたったころです。肥料もよく聞いていますし、順調に生育しています。

だいたいこのタイミングで追肥を行います。元肥の半分の量を与えますので、m2あたり100g程度です。これは肥料の成分により分量は変わりますので、パッケージ記載の数値を確認して与えるようにしてください。

植えつけてから1カ月半から2か月で収穫が始まるのですが、今年は前述した通り天候不順により生育が遅かったと思います。

 

家庭菜園の面白さは、育てる楽しみであり、珍しい野菜を育て食べることができるという特徴があります。そんな野菜は周囲に配ると結構喜ばれますし、日々の食生活での野菜の恩恵をうけることができます。そして何より、スーパーの野菜しか見たことがなかった子供たちの目には家庭菜園で見えてくるさまざまな景色を、興味をもって楽しんでくれるはずです。

そんな家庭菜園に是非トライしてみてください!