花が咲かない!?ハナミズキ  なぜだろう、なぜかしら。

Blog花が咲かない!?ハナミズキ  なぜだろう、なぜかしら。2016/01/26

先日、お庭のリフォームをさせていただいたお客様宅に、かれこれ植栽してから7~8年近くたっている一本のハナミズキがありました。このハナミズキ、最初の春に開花してから今日まで一回も花が咲かないのだそうです。自然に育っている樹木でも、毎年咲かずに隔年や数年おきに開花するという開花の特性を持つものがあります。その理由は自然界での共生関係によるところであったり、気候によるところであったりと理由は様々のようです。今回の場合はこれとは違うようです。

お客様からどうしてですか?と尋ねられたので調べてみました。目視とヒアリングで確認できたのは、以下の内容です。

 

 

①    植栽して8年近く経っているにしては育っていない。樹高2.0m程度、葉
張り1.0m程度(幹も細く幹周15cmほど)見た感じ、植栽した苗木とほとんど変わっていない。お客様の印象も同様。

②    花芽が全くついていない(1月時点)翌春も花は咲かないのでしょう。

③    病気や害虫の影響はなさそう。

④    日当たりは良い環境にある。

⑤    風通しもよい場所である。

⑥    周囲に植えられている他の樹木(シマトネリコ、メラレウカ、ジンチョウゲ、枝垂れ梅)は、それほど生育が悪くない。

⑦    花芽ができた後に剪定したわけではない。

⑧    幹をゆすってみたら、株元が少しだが動く。(根が充分に発達していない)

これらから考えると、花芽分化期に、花芽を形成するだけの養分が取り入れられなかったか、

何等かの影響で生育が衰えたか(気候、人為的管理)が考えられます。他の理由として、生長できていないため未熟であり花を咲かせる力が備わっていない(生殖生長になっていない)などということも考えられました。

さて、このままお客様からの質問に対してどうお答えするのか?「このまま様子を見てください、またいずれ季節が来たら咲きますよ!」といって経過観察は簡単だが、それでは8年もの間咲かないという事実からすると、何の解決にもならないので、今回は目視やヒアリングではわからない地下部を掘って調べることにしました。

掘り進めていく上で、スコップだけではなく、コテやドライバーなどを用いて、根部をできるだけ残しつつ掘っていきました。その過程でわかってきたことは以下の通りです。

①    土が肥沃でない。(基本土の真砂土のみ)目視でも土が黒っぽくないことでわかります。⇒土壌改良されずに植えられたか、改良したが充分でな
かった。長年乾燥を繰り返す中で有機質が分解されてしまい減少したのかもしれない。

②    根の発達がそれほど充分ではない。

③    根が腐っているような様子は見られない。

④    排水はよさそうである(水は溜めなかったが土や周囲の様子だけでの経験的判断)

⑤    根部に病害虫の影響はなさそう。

ここまでの情報だけでも、推測されるのは土壌条件が適していなかったというのが妥当かと思います。ハナミズキはもともと肥沃な土壌を好むようです。近くに植えてあるシマトネリコは、何の問題もなく大きく生長していましたが、これはシマトネリコが土質を選ばない非常に丈夫で生育旺盛な樹木だからといえます。

現状の土質ように、真砂土のみの土壌では養分は吸着されることはなく、ほとんどが水と一緒に流れ出る、または植物が活用できるような状態にはなっていません。施肥をしても効果は充分とは言えず、捨てているようなものです。また保水力もないため水切れもしやすかったのではないかと思います。このような土壌により、生長が充分ではないのか、花芽分化に必要な養分が取得できなかったというのが理由の主たるところだと思いました。

結果は、そんなものかという特に難しい内容ではなかったのですが、掘ってみたからこそわかること。このひと手間が大切なんだと思います。時間と手間がかかることなので簡単には出来ないのですが、掘ったら掘っただけの事がある!ということがわかっていただけたかと思います。

 

ということで、根っこを調べるためにこんなにもきれいに掘り取ったので、今回の対応としては、新しく作った花壇へ植え替えることになりました。もともと花を植えるための花壇と考えており、花壇用に改良した用土で充分すぎる状態ですがこれからどのように生長して花を咲かせるのかを、これからも見守っていきたいと思います。

今回の作業については、お客様にも現状を見てもらいながら、自分なりの見解を説明しまして理解を得ました。お客様もこれからのハナミズキの生長からは目が離せなくなる!?と思いますので、一緒に観察していきたいと思います。植木も生き物の目線でみてあげると興味も湧きますし、なにより日々、観察することが癖になり、生長過程の変化にもっと早く気づくことができるので、もっと植物との距離が近づくのではないでしょうか。早く咲かねぇかな!!

ハナミズキ  ミズキ科

学名 Cornus florida

(cornu=「角」「角枝」という意味より、木の硬いことを示す)

(florida=花の目立つ、花の咲く、花の充満したという意味)

別名 アメリカヤマボウシ

分布 北アメリカ

形態 落葉高木または小高木

花期 4~5月 葉が展開する前か同時に開花する。花弁に見えるのは総苞片。

参考 大正時代のはじめに東京市長がアメリカに桜の木を送った際にその返礼として日本へ送られてきた「日米親善の木」として有名。

 

≪出典≫ 樹に咲く花 離弁花② 山と渓谷社

 

≪参考文献≫ 植物学名大辞典 万谷幸男編 植物学名大辞典刊行会

樹に咲く花 離弁花② 山と渓谷社

 

このハナミズキが植栽されてある現場の様子は、以下のリンクからどうぞご覧ください。使えてなかったお庭をメンテナンスが楽で機能的にリフォームしました。ハナミズキはリフォームの時に移植しています。

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