『お客様との出会い』
ホームページからのご依頼でした。新築にあたってのエクステリアのご依頼で数社を熱心にあたられ、他社様のプランと見比べたうえで弊社を選んでいただきました。本当にありがとうございます。
ご要望については、小さなお子様(乳児)をお育てで、育児中にもやさしい住みやすいプランをお望みでした。そして、もう一つ大きな課題。今回の新築場所の隣にご実家があり、そちらの家屋、敷地、外構との一体感を得ることが要望の中で重要でした。
当該地は田園風景がひろがり、他に家屋が少ない場所で、四季折々の景色、星空などが広がる素晴らしいロケーションでした。こちらの思い(コンセプト)としては、新しいご家族の新しい住まい、これからの成長と共に、家族が寄り添うようなプランにしたいと思いました。お子様の成長のステージにおいて記念日がいくつもやってきます。その記念日には、玄関前で写真を撮ったり、また広く車通りのほとんどない前面道路はお子様との遊び場所にもなります。そのときに過ごしやすいような、また季節感を感じさせる植栽の提案を盛り込みました。
エクステリアでの大事な要素、門柱とアプローチの計画は、できる限り大きく構造物を配置して、小さく小さくおさまらないようにしています。またこの玄関先の過ごし方は、お子様の記念日の写真撮影場所にもなり、車通りのほとんどないこの道では、お子様とご主人のキャッチボール(?)などの遊び場にもなるかもしれません。そんな時、ちょっと腰掛に使える階段は蹴上を少し高めに設定しています。
また育児中のベビーカーにとってはやさしいスロープの計画は奥様の願いでした。今回の門周りのデザインは、これらの用途を叶えるため、階段やスロープ、植栽計画を門柱と一体化させるようにデザインしています。
『玄関先を彩る花』
玄関先には少しお花がほしいものです。紫や青、白系がお好きということでこちらでアレンジしました。エキナセア、ペチュニア、アンゲロニア、ユーフォルビアはちょうど植え込んだ季節から霜が降りるまで比較的長く咲いてくれます。来年も咲く植物や、一部は一年草の扱いの植物ですので、これからお店で見かける可愛い花を奥様の手で楽しんでもらえる植栽計画にしています。
『カラーアレンジ』
建物との一体感は、色を考慮して合わせる事で叶えられます。今回の色使いは、玄関ポーチの庇にあるタイルに注目して合わせました。奥様の好みもシックなカラーがお好みで色合わせはスムーズで楽しくもありました。
『課題』
冒頭にもあるように、母屋との一体感をどうするかという課題は、お施主様とも幾度も話し合いながら進めました。母屋の建物は古くからの日本家屋。今度の新築は洋風なモダンスタイル。そして母屋の外構は日本家屋に多くみられる崩れ石積みなどでした。洋と和で一体感を図る難しさの解決にはかなり時間を要しました。時に崩れ石の多い住宅地を歩いて回り、何かヒントが無いかと模索したのが良い思い出です。
施工場所のスペースやご予算から考えて、同じ崩れ石積みを使うのは難しく、仮に取り入れたとしても新しい建物との調和が図れないというデメリットもある中、こちらで提案したのは、タイルによる仕上げでした。最近のタイルはインクジェットプリントの技術が進み多種多様な品ぞろえがあります。その中からサンプルをいくつも取り寄せて、現地で見比べてはお施主様と相談して決めました。
『カラーで合わせた一体感』
今回用いたタイルは石調で一枚一枚の模様が様々なものです。色を既存の石積みに近いもので絞り込み、新しい建物の庇やバルコニータイルの色も考慮しながら決めました。アルミフェンスは、木目調のものです。これは母屋の2階の杉板の色であったり、新宅のサッシの色を考慮して決めています。大きな課題でしたが、いい結果が出せたと思います。
『お庭プラン』
リビングと和室が建物内部ではつながっている間取りに面したお庭。洋であり和を考慮したデザインにしています。奥様の願いであった濡れ縁は、木樹脂のウッドデッキで叶いました。木の材については、シダーからハードウッドまで検討しましたが、最終的にメンテナンスを考慮して木樹脂を選択。ウッドデッキの木の質感を合わせた木目調のタイルを床面に施しています。できるだけ広い場所を確保できるようなデザインにしています。そんな中にも植栽は省かずにしっかり取り入れました。土壌改良から徹底しています。なかなか後からは出来ない土の問題。施工当初から植栽基盤には予算をかけるようにお勧めしています。
『ベビーカーの事も考えて』
母屋からの通路は、凸凹や、溝が無いようにしてほしいという奥様の願いで、バリアフリーの計画となっています。ボーダータイルでアクセントを入れたラインが横方向に広がる空間をよりスッキリ見せています。