『お客様との出会い』
イタリアンダイニングに置かせていただいてたショップカードをご覧になられてホームページからご連絡いただきました。新築のエクステリアとお庭のご依頼でした。すでに別の造園会社様と打ち合わせ中でしたが、もっといいプランがないかとお考えでした。当該地は真四角ではない土地で、ガレージをどうとるかを迷っておられました。そこでエクステリアからお庭までトータルにヒアリングさせていただいた上で最適なゾーニングを提案させていただきました。一般的に、エクステリアもガーデンも切り離すことなく一度に計画するほうが必ず良い結果が出ます。
今回のプランは、玄関までの間にお庭空間を通る配置計画なので、ガーデンとエクステリアの一体を検討しています。どちらも同じコンセプトのもとデザインしました。
一つの円が織りなす舗装や花壇、すべてが同心円によりまとめ上げられ、植栽と構造物によって緑ゆたかな和みのプランを描きました。門周りは建物のアクセントになっている煉瓦タイルに近いものを用いてシンメトリーの門周りを作っています。円に沿うように配置したRの壁。しっかりと隠したい部分は壁で隠し、少し外から見せて印象よくエクステリアを見せたい部分は透過性のある門扉で見せています。舗装の流れが敷地内の円を予感させ、それによってまとめられているお庭だということがわかるでしょう。Rに沿った植栽(サルココッカ ルシフォリア)は低い生垣のように育てます。将来、グリーンのラインがさらにこのエクステリアをよく見せてくれるはずです。
門扉を入ると、美しい弧を描きながら玄関へとつながっています。色味は多くせず、建物の色につかわれている2色と同系色だけでまとめています。ただ素材の形やテクスチャで違いをつけています。これによりスッキリまとまりました。サークル内のシンボルツリーはヤマボウシ。他にもエゴノキ、ハナミズキなど花の咲くものを中心にしています。午後からは建物の影になる東側のお庭ですので、雑木で花の綺麗なものにはいい環境です。90角の石はジャワ石、乱形石はポリフィールドです。
サークル内には乱形石でベンチも配置しています。乱形石を層状に積み上げたベンチ。素材を増やさずに施工方法を変えて別の構造物を作っているところがポイントです。石の魅力を角度を変えて見せています。同じ石なのに、敷くと積むでこんなにも表情が違っています。このベンチ、素材を変えてしまいがちですが同じ素材で仕上げた一体感も良いですね。
続いてお庭です。芝生が一面広がる広いお庭。同じく同心円で描かれたボーダー花壇に樹木と多年草を中心に植栽を施しています。宿根草は年々育っていきます。植えたてはボリュームがでませんが、来年の春から初夏にかけてはさらに花数が増えて見ごたえがあるはずです。宿根草は、緯度の高い涼しく湿気の少ない気候に属するものが比較的多く、日本の夏、特に関西の蒸れる暑い夏には弱いものが多いです。勿論そうでない強いものもあるのでその組み合わせで植栽しています。ベロニカ、リシマキア、コモンマロウ、エキナセア、フロックス、ギボウシ、トキワイカリソウ、アジュガ、アガパンサスなど他にもいろいろあります。研究熱心なお施主様ですが、これまでそれほど植栽を触ってこられた方ではありませんので、できる限りフォローしながら見守っていきたいと思います。
芝生は高麗芝の伸びにくい品種TM-9を使っています。伸びにくい形質は種から発芽した新芽には当てまらないので、花が咲いたら種を結ぶ前に刈り込まないといけません。
樹木ももちろん計画に含んでいます。カラタネオガタマは、春に甘いバナナににた甘い香りを運んできます。他、ナツハゼ、ソヨゴ、アブラツツジ、ビブルナム ティヌス、花が咲いたり、実がついたり、葉色を楽しんだりとそれぞれの特徴があるものを生かして計画しました。
ブルーの花はベロニカ ロンギフォーリア。ベロニカの中では暑さ寒さに強く丈夫です。初夏に花が上がりだしてから、秋口まで咲いています。切り戻しや支柱をしながら育ててあげると長い期間咲いてくれます。ピンクの花はペンタス。これは一年草扱いです。霜が降りる頃まで咲いてくれます。暑い時期が好きでとても上部ですが、少し涼しくなってきたころにグンと発色良く咲いてくれます。
唯一中が見えてしまう場所。。見えない門扉ももちろん良いですが、奥の景色を見せることで、お庭の様子にいろんな想像を掻き立てます。アプローチの弧のラインは門扉を通して、見せてあげるかどうかでエクステリアの印象が随分違ってきます。プランによってはもちろんクローズ(プライバシー確保)も考えなくてはなりません。今回の門の配置は見せるところ、見せたくないところをあらかじめゾーニングした上で計画しています。
また構造物だけでなく植栽を添えることは、間違いなく印象を高めます。植栽がない時、ある時の差は一目瞭然で、高さ方向にグンと樹形が現れ、より立体的になります。これは植物にしかできない表現ですし、色や季節感を添えてくれる素晴らしい素材であると考えます。
ガレージ側は、フルオープンです。3台駐車が可能な計画です。また、将来もしシャッターゲートが欲しくなった場合も設置にあたって最小限のリフォームで設置が可能なように計画しています。当該地は角地のため目線が気になる場所でもありますが、ガレージ側からは壁によりプライバシーを確保でいているのがわかります。