秋冬野菜の植え付け~葉もの野菜と根野菜~

Maintenance秋冬野菜の植え付け~葉もの野菜と根野菜~2019/09/19

ここは、大阪市内にある某マンションの共用菜園です。この菜園に秋冬野菜をこれから植え付けしていきます。

まだできたばかりのこの菜園。出来てから夏野菜を一作育てて、撤去したあとの様子です。ここの土壌は畑の土とは違う真砂土がメインの砂質土壌。透水性が良いのが特徴ですが、保水性が悪く乾きやすい短所があります。また同時に保肥力も低いのです。

菜園には不向きなのですが、出来てしまっているので使わない訳にはいきません。土壌改良を繰り返して、長期的な土作りが必要になります。

土壌改良材や、道具、その他資材を運び込んでこれからはたけの土壌改良から始めます。

まずは道具を紹介しましょう。

右から、剣スコの大小、谷かき鍬、レーキです。

●スコップ⇒土を掘って移動させたりを大雑把に行うものです。小さい畑だと、剣スコップの小があると便利です。土壌改良材を混ぜるのにも重宝します。大きいスコップは作業量は大きいですが、力がいりますので体力に自信がないとすぐにへばってしまうでしょう。

●谷かき鍬⇒土を寄せたり、畝をあげたりするのに使います。鍬の角度を利用して、上げた畝の側面を固めたりします。

●レーキ⇒土を平たく均すのに使います。

 

レーキの横にあるのが備中鍬です。

●備中鍬⇒耕すための農具の代表です。畑の土が粘土を多く含み重たい土、いわゆる畑土のときにはこれで耕します。

土を耕すのに使う農具のほかに必要なものがあります。

●てみ⇒土壌改良材を畑に分配するのに使います。他にも、ごみや除草した草がら等を集めるのにも使えて大変重宝します。集めたものを袋に移すときにもスムーズですので、是非ひとつ手に入れられることをおすすめします。

●バケツ⇒肥料や土壌改良材を分配するのに使います。袋に入っている資材の口をあけて直接分配してしまいがちですが、丁寧に配れるので量の配分にムラが出ません。

 

これらを用いて土壌改良からはじめましょう。

まず土壌改良材を施す前に、大雑把でいいので耕しておきます。こうすることで後の改良材が混ぜやすくなります。

まず、石灰をまきます。土の酸度を調整するのに使う改良材です。石灰でよく使われるのは「苦土石灰」と「有機石灰」です。

土壌酸度は「pH」と表記されて、ペーハーと読みますが野菜を作る場合はその数値は、pH6.0~6.5が理想とされます。

石灰は主にカルシウムが原料で、カルシウムは野菜にとって必要な微量要素のひとつです。pHの数値が6.0程度だったとしても、極端にアルカリ性になっていなければ、私は混ぜ混むようにしています。苦土石灰にはマグネシウムが、有機石灰には鉄、マンガン、ホウ素やミネラル分を含みます。

土壌改良の方法を紹介する本では必ず土壌改良を行う1週間前に事前に撹拌しておくと書かれてあります。これは後に混ぜる化成肥料との反応を避けるためです。同時に混ぜ込むと肥料分の中のチッソが石灰と反応して効果が薄れてしまいます。しかし、実際は時間に余裕がなくて、一緒に混ぜたいと思われるかた多いのではないでしょうか。

そんなときは、紹介した石灰のうち有機石灰(蛎殻石灰)が安心です。同時に混ぜても反応がおこりにくいのと、先に書いた通り、微量要素を含みます。

一般的分量は目安で100g/m2とされています。この量を与えてもpHが1ポイント改善されることはない量です。正確には、土壌の質によって作用する量はいくつもパターンがあるので、家庭菜園では、pHが6.0前後であれば、このくらいの量を混ぜておけばいいと思います。(かなり個人の感覚ですみません)

本来は、このような測定器で測ります。簡易なもので参考程度の数値でしかありませんが、計っておくと計らないとでは大きな違いがあります。一般的に小さい規模の菜園において、極端に酸性やアルカリ性の傾くことってあまりないように思います。誤って酸度未調整のピートモス(強酸性)を大量に入れるとか、もしくは苦土石灰を間違って大量にすき込んでしまったとかしない限りにおいては。

もともと土壌には緩衝機能といって、極端な偏りを無くそうとしてくれる力があるので、少量であれば徐々に平準化されていきます。

pHの数値を気にしたほうがいい場合は、ホウレンソウなどpHが6.5~7.0程度を好むものを育てるときです。この場合、pHを少し気にしながら適正なpHに近づける努力をするほうがよいです。石灰資材を使わないとこの数値を得にくいと思います。

 

そして肥料です。今回の肥料は、ボカシ肥料と呼ばれる有機肥料です。

土作りということにおいては、土の中の微生物や小動物との関わりを無視はできません。微生物の餌にもなり得る肥料がボカシ肥料です。大雑把に言えば、土中の微生物、小動物が活発に活動すれば、それにより土は複雑にくっつき合いフカフカの土になっていきます。これを団粒構造の土というのですが、透水性、保水性、保肥性など土壌の性能が向上されます。なので微生物などの餌になるような堆肥や肥料を施すことをお勧めします。化成肥料だけでいくとこの効果は得ることができません。

一方で、有機質肥料は効き目がゆっくりなので、反応が分かりにくい反面、化学肥料は、与えたら数日でその効果がわかるほどよく効きます。どちらがいいかは、使う側の目的によって違ってきます。

道具を使って、これらを均一に分配していきます。

土壌改良材を入念に混ぜ合わせます。これが結構大変な作業です。耕運機があればどんなに楽かと思います。このとき深く耕せば耕すほど良いとされています。ただ、家庭菜園において人力で耕す場合は30cm程度が限度ではないかとおもいます。

女性のかたであれば20cmでも大変な作業です。深ければいいのですが限度があるので、ほどほどに頑張りましょう。30cm混ぜれたら十分だと思います。

改良材を混ぜる目的もありますが、締め固まった土をほぐして、新たに酸素も送り込む目的もありますのでそのあたりを念頭に作業しましょう。

あらかた混ぜ終わったら、少し灌水して土に粘りを出しておきます。畝がたてやすくなります。

レーキで土の凸凹をならしていきます。そして畝をあげていきます。畝のてっぺんはなるべく平坦になるようにしてください。植え付けたときに、凸凹だと、植えた苗の根が露出したり、お水やりをした水が染み込む前に流れ落ちてしまうことにもなりますので。

苗を植え付ける場合もあれば、種をまく場合もあります。種をまく場合のすじ蒔きには、何でもいいのですが棒を用意して、あらかじめ土に押し付けて、直線の溝をつけておきます。

今回の作付け図はこのようになっています。

野菜には同じ科のグループでまとめて、区画をいくつか作って毎年ローテーションで育てるようにします。これを輪作といいます。

理由は、簡単にいうと「同じ場所で同じ野菜を作り続けると収量が落ちたり、病気にかかりやすかったり、生育障害がおこる。」、といわれており、うまく育てることができなくなってきます。

これは土壌の中の栄養素や病虫害、微生物の種類に偏りができ、悪い虫ばかりが増えていく、育てている野菜が欲する栄養素が不足することになりうまく育たないのです。

この状態を回避するために、毎年違う作物になるようにローテーションを組みます。

図面の右上から時計回りに「アブラナ科~キク科~セリ科他~アブラナ科」となっています。セリ科他にはコマツナやホウレンソウが含まれていますが、連作障害が起こりにくい作物とされているので混ぜています。

決めた場所に順に植え付けていきます。植え付け時の注意点としては、

●ポット苗は、ポットの根鉢の土の面と、畑の土の面の高さ合わせて、深植えにも浅植えにもならないように植えること。

●種まきは、種の大きさの3倍までの深さで深くまかないことと、筋蒔きの場合、種を撒きすぎると発芽後に一定の間隔で間引くのですが、その作業が大変になってしまいます。

私は初めから間引く間隔で2~3粒を撒いていくようにしています。

植え付けが終わったら、お水を撒きます。その前に畝にまいた水が流れ落ちにくいように、畝の天端をくぼませて水が溜まりやすくすると、しっかりとしみ込んでいきます。

土が跳ね返るほどの強い勢いで灌水せずに優しい水量でじっくり時間をかけます。

最後に防虫ネットを設置します。トンネル用の資材はたくさんありますが、今回はグラスファイバーでできたポールを使いました。ダンポールという商品名でも販売されています。これを50㎝間隔程度で配置していき、その上に防虫ネットをかぶせます。両端は画像のように、杭を打ち込んでネットを絞ってひもで括り付けます。

グラスファイバ―ようのクリップも市販されています。一定間隔でクリップで止めると、防虫ネットがたわまずにピンと張れ、隙間もなくなります。シートを開けるときには、写真のように束ねてクリップで挟むことができるので大変便利ですよ。

以上のように野菜の植え付けを行いました。

さて、うまく育つでしょうか。。。。。。お世話はマンションの管理人さんがしばらくするそうです。

この菜園が住人さんで管理されるのはもう少し先になりそうとのことでした。マンションはまだできたばかりで、入居者がそろったら菜園倶楽部なんかができるといいですね。