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2019
7/05

ツツジが育たない!?お困りの方からのご依頼にどう答える。

以前、工事をさせていただいた方のご親族のおうちでの工事です。新築してからお庭に植栽をしてもらったそうですが、植えた当初は綺麗に花が咲いたそうですが、今は花付きもわるく、枯れているのもちらほらだそうです。ご自身ではどうしていいのかわからず、どこに頼んだらいいかもわからず困っていたそうです。

当時植栽をされたところに問い合わせるほうがとも思いますが、元々の工事業者さんには頼みたくないとのことでした。詳しくは割愛します。

現地を見てみると、確かに葉色は悪く枯れかけているものも多い現状です。。ツツジは丈夫な植物です。きわめて日当たりが悪い環境でもなく、病虫害も特にひどくない。5年経ってこの状態で、疑うのは「土壌」にあると思いました。

目視で確認できるだけでも、土の表面の色をみれば、土壌という地面には程遠い様子がわかります。色が黒くない(堆肥などの有機質が含まれない)様子だからです。関西の住宅では新築時の土地の仕上げには「真砂土」が用いられることがほとんどです。土壌改良もほぼされることなく、真砂土だけで植栽されたのかと想像します。真砂土は保肥力がないので、そのままでは植物の生育には不十分です。真砂土は基本は「砂」です。多少の粘土は混じっていますが、真砂土だけでは肥料を与えても大切な窒素(N)は水に流されやすく、灌水や降雨と共に溶脱してしまいます。それを補うのが堆肥を始めとした有機物になります。

少しこまかしい話になりますが、この土中に投入した有機物をエサに集まる微生物や小動物が土をフカフカ(団粒構造)にしてくれるのです。そして肥料分を保持しやすく、与えた水は余分な分を排出して、必要な分を保持することになります。この土壌のおかげで植物は生育できるのです。

現地に植えられているのはおそらくはキリシマツツジかクルメツツジ。どちらも元はキリシマツツジであり、実際見ただけではどちらも見分けにくいので、あえて「ツツジ」とさせていただきます。

さて、これらツツジを抜き取りますが、根が張っていないのですぐに抜き取れます。根をみると当然ですが白っぽい色がない。植物の根はほぼ白っぽい根は生きている根であり、茶色や焦げ茶色の根は枯れている根になります。目視で分かりますがほとんど白い根が見られません。しかも、木の根元が地面に埋まっている状態でした。いわゆる「深植え」という状態です。深植えにより発根しているところもありますが、樹木のほとんどは深植えは嫌います。生育がわるくなるのです。お花などでは深植えすることで生育が良くなるものもありますが、今回の場合には該当しません。

少し離れた別のところの株は、少し様子が違いました。簡単には抜けません。画像でもわかるように根に土がどっさりついているのがわかります。根が張っている証拠です。当然地上部も大きい。生育には明らかな違いがあります。土壌改良されている(有機物の投入)様子が見られませんが、根はよく張っています。

ではどこが違うのか?生育不良のほうをA 生育がましなほうをBとします。どちらも新築時に設置したブロックに沿って植えられています。

①土壌改良の程度はさほど変わらない。日当たりはAのほうが午後から日陰になる。

②Aが植わっていた場所は道路との高低差がほとんどない場所 Bが植わっていた場所は道路が低く、植栽地との間に高低差が40㎝ほどある。

③それにより客土(当初に投入した真砂土)の量が違う。Bのほうが多い。Aのほうはブロックの基礎が近くにあり、リサイクル砕石(アルカリ性)がたくさん混じっている。

④掘ってみるとAのほうが土がジメジメしている。(みずはけが悪い)

などど調べてみて以下のように考えます。

A:ツツジは当該地の日商条件だけでここまでの生育差は出ない植物。

B:排水性の悪さ、土壌のpH(土壌酸度)が適切でない(リサイクル砕石はセメントが混じっているためアルカリ性に近い。ツツジは弱酸性を好む植物。)

C:土壌改良が不十分で、排水性、通気性、保肥性すべてにおいて不足している。

ということを考えました。

 

ちなみに土壌酸度(pH)を簡易測定器で測りましたが、取り立てて適していない数値ではなく、数点計測しても6.0程度です。ちなみにツツジは5.0~5.5という弱酸性を好みます。広くいろんな植物と比べても弱酸性を好みます。ただし、6.0という数値はツツジの生育不良の決定的な数値ではありません。

 

この土壌をせっせと土壌改良します。使ったのは

バーク堆肥 ホワイトローム(黒曜石系パーライト) バーミキュライト ホワイトピートをつかって土壌改良しました。深さは30㎝程度の深さを耕しています。さらに排水性をよりよくするために地面より5から10センチほど高く畝を作るように植栽することにしました。

ピートモスは土壌をフカフカにして、排水性、通気性を高めてくれますが同時に酸度にも影響します。直接計測してみると、一気に「4」という強酸性を示します。これにより土壌を酸性に傾けるわけですが、土壌には酸度の緩衝機能があり、混ぜたところで強酸性にはなりません。1割程度混ぜ込みましたが、その程度では1にも満たないほどの酸度調整にしかなりません。

まず、わりと生育がましだったところも植え替えました。

生育が全然ダメだったところも、新しい苗を追加して、完全にダメな苗と入れ替えて植替え完了しました。

新しく植え替えのために持ってきた苗です。左が新しい苗ですが根の部分をみたら健全度がちがうのがよくわかります。

あと写真ではわかりにくいですが、双方には決定的に違う点があります。苗が栽培されたところの土が全く違います。もともと植えてあった苗は粘土の塊がたっぷりついた土、持ってきた苗はパサパサでよくほぐれる土です。もともとの苗の良し悪しもあったと思います。ツツジは植え付けるときに根をほぐして植えるのが良いとされています。それほど移植にも耐えます。細い根がたくさんあるので細根も出やすい植物です。

最後に、でっかかった株も植え替えて完了しました。

お客様宅で植木鉢で苦しそうにしてたイチジクもついでに地面におろしてあげて、本日の工事を終えました。今回の問題点の一番は排水性の悪さが最も原因であったかと思います。土がべとべとしているところのツツジが最も生育が悪く、土壌改良剤が云々よりも致命的だったと思います。phの数値をみればさほど問題なかったとはいえ、たくさんの雨が降ったあとの水が滞留している状態ではphの値はもう少し高かった(アルカリに近づく)かもしれません。

これからの生育が楽しみです。どうなったかをまた見に行きたいと思います。

お客さんからききましたが、当初植えた植木屋さんは、植えたっきり来たことがないとのことでした。生き物を扱う仕事をしていると、自ら植えた植物がどうなっているのかは気になるものです。自然と足が向きます。それが向かないということであれば、その人にとっては生き物ではなくて単なるモノだったのでしょうか。。。。

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